マイクロ法人

マイクロ法人と個人事業主の二刀流の「損益分岐点」と「手取りの差額」を解説

困った人
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マイクロ法人と個人事業主の二刀流がお得って聞いたけど、「損益分岐点」や「二刀流になることでどのくらい手取り額が違うか」を知りたい。

そのような疑問をお持ちの方へ、丁寧に解説する記事となります。

記事の要旨
「個人事業主のみ」と「マイクロ法人と個人事業主の二刀流」を比較して、
①二刀流の方がお得になる損益分岐点
②二刀流にすることでお得になる手取り額(ケース別)

 

マイクロ法人と個人事業主の二刀流のメリットがわからないかたは、まず下記の記事をごらんください。

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※この記事は、事業規模を大きくして、個人事業から法人を立ち上げるという趣旨のものではありません。

シミュレーションの前提条件

「個人事業主のみ」と「マイクロ法人と個人事業主の二刀流」を比較して、
・二刀流の方がお得になる損益分岐点
・二刀流にすることでお得になる手取り額(ケース別)
をシミュレーションするにあたって、前提条件を下記に示します。

 項目
前提条件 備考
個人事業
関係
(国保関係)
扶養配偶者の年収
(扶養配偶者がいる場合)
0円 扶養配偶者の年収により
国民健康保険(所得割)が変動する
夫婦の
年齢
40歳
未満
介護保険加入有無に関係する。
40~65歳:加入必要
上記以外:加入不要
40~65歳の場合、二刀流のメリット(得する額)はさらに大きくなる
個人事業税
税率
4% 個人事業の所得が290万を超えた金額に対して、規定の税率(3~5%)がかかる。
税率は業種により異なる。
青色申告控除額 65万円 既定の条件を満たせるかどうかで、
65、55、10、0万のいずれかに該当
(得する額には大きな影響無し)
マイクロ
法人
マイクロ法人の
収入
(役員報酬、会社負担の社会保険料、諸経費を差し引く
80万円 収入が多いほど、役員報酬が多くなり、社会保険料が増加する。(もしくは法人利益が増えて法人税・法人事業税が増える)
※最適な収入は70万程度
マイクロ法人の
利益
(役員報酬、会社負担の社会保険料、諸経費を差し引いた
0円
役員報酬+会社負担の社会保険料+諸経費で100万となるようにする。
法人に利益を残すと、法人税・法人事業税が発生してしまう
役員社宅
経費計上しない 自宅が賃貸の場合、役員社宅として経費計上できる。その場合、二刀流のメリット(得する額)はさらに大きくなる。
事業を行っている
市町村
横浜市 国民健康保険が市町村により異なる
保険料の計算方法(外部リンク)
資本金額 857万円
以下
資本金額により、登録免許税・法人住民税均等割が増える。
二刀流(マイクロ法人経営)により
追加でかかる費用
法人住民税
(均等割)
7万円 資本金1000万以下の金額。1000万を超えると、均等割の金額が高くなってしまう。
登録免許税 6万円 初年度しかかからない費用ではあるが、考慮する。資本金857万以下想定の金額。
税理士と契約しない場合の費用 (5万円)
※下記といずれか
会計ソフト代+申告ソフト代
税理士と契約する場合の費用 (18万円)
※上記といずれか
会計ソフト代+税理士代

マイクロ法人経営で、必要な費用について知りたいかたは、下記の記事をごらんください。

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①二刀流の方がお得になる損益分岐点

マイクロ法人を設立・経営すると、
法人住民税均等割・登録免許税(初年度のみ)・会計ソフト代・申告ソフト代・(税理士費用)などがかかります。
※1.税理士費用は、税理士と契約しなければ不要です
※2.法人に利益が出た場合、上記に加えて法人税や法人事業税などがかかります。

そこで「個人事業主のみ」と比較して、「マイクロ法人と個人事業主の二刀流」でいくら以上の所得であれば、二刀流の方がお得になるか(損益分岐点)を示したものが、下記表の通りです。

表中の数字は、前提条件であるマイクロ法人収入80万に加えて、個人事業主の所得がいくら以上なら、二刀流の方がお得になるかを示しています。

家族
扶養家族
無し
配偶者のみ 配偶者+
子供1人
税理士
契約
有無
無し 108万円 0万円 0万円
有り 235万円 52万円 0万円

例えば、税理士契約無しで、扶養家族がいない場合、
マイクロ法人収入80万円+個人事業の所得108万以上であれば、
個人事業主の所得188万円よりも、二刀流にした方がお得というわけです。
(年収188万のときの手取りイメージは、下記の通りです。)
二刀流_188万の手取り額

②二刀流にすることでお得になる手取り額

次に、「個人事業主のみ」と比較して、「マイクロ法人と個人事業主の二刀流」の方がいくらお得になるかを、下記表に示します。

前提条件は、税理士と契約しない場合です。
税理士と契約する場合は、下記表の数字から13万円程度を差し引いてください。

お得になる金額が、800万円程度で頭打ちになっている理由は、個人事業主のみの場合にかかる国民健康保険料が上限に達するからです。
※国民健康保険料は、営業している市町村により異なります。

扶養家族
扶養家族
無し
配偶者のみ 配偶者+
子供1人
配偶者+
子供2人
個人事業主所得
※マイクロ法人の収入は別
200万円 10万円 31万円 35万円 39万円
400万円 32万円 51万円 55万円 58万円
600万円 48万円 65万円 68万円 71万円
800万円 58万円 72万円
1000万円 58万円 71万円
1500万円 57万円 68万円
2000万円 56万円 66万円

例えば、税理士契約をせず、扶養家族が配偶者のみので、
マイクロ法人収入80万円+個人事業の所得420万円の場合、
個人事業主のみで年収500万円の場合よりも、手取り51万もお得というわけです。

上記の手取り額は、法人設立時のみにかかる登録免許税を考慮した値ですので、法人設立2年目以降は手取り額が6万円増えます。

年収500万のときの手取りイメージは、下記の通りです。

二刀流_500万の手取り額

最後に

いかがでしょうか?
「個人事業主のみ」と「マイクロ法人と個人事業主の二刀流」を比較して、
①二刀流の方がお得になる損益分岐点
②二刀流にすることでお得になる手取り額
について、理解いただけましたでしょうか。

今回の前提条件では、自宅が賃貸の場合に可能な「役員社宅の経費計上」を無しとしましたが、役員社宅の経費計上ができれば、さらにお得になる手取り額は増えます。

 

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