そのような疑問をお持ちの方へ、丁寧に解説する記事となります。
この記事を読んでいただければ、マイクロ法人や小規模な法人の会社設立方法がわかります。
まず、個人事業主とマイクロ法人の違い、マイクロ法人のメリットについてよく分からないかたは、下記の記事をごらんください。
会社の設立手順
会社の設立手順は、下記の通りです。
※マイクロ法人でも、普通の法人(会社)でも手続きは同じです。
手順 | 項目 | |
① | 事業プランや登記内容の決定 | |
② | 印鑑の作成 | |
③ | 定款作成(ていかん さくせい) | |
④ | (定款認証) ※合同会社の場合は不要 |
|
⑤ | 資本金の払込み ※払込証明書の作成 |
|
⑥ | 登記申請書の作成 | |
⑦ | 登記申請(とうき しんせい) | |
⑧ | 登記簿謄本(とうきぼとうほん)と印鑑証明の 受け取り |
|
⑨ | 税務上の届出提出 |
心配しなくて大丈夫です。
手順は多いですが、本記事のとおりに実践していけば、マイクロ法人を設立することができます。
ちなみに、手順③④⑥⑦は、マネーフォワード会社設立を使えば、簡単に必要な書類を作成できます。
詳細は後述します。
①事業プランや登記内容の決定
事業プランや登記内容として、下記を決める必要があります。
・会社名
・本店所在地
・(出資者と株主の決定)
↑合同会社では不要
・株式会社 or 合同会社の選択
・事業目的
・資本金額
・会社設立日
・決算日
赤字の部分をどうするかで困る方が多いと思いますので、それぞれ詳しく解説します。
株式会社もしくは合同会社の選択
法人には、株式会社と合同会社があります。
※昔は有限会社を設立する選択肢もありましたが、2006年以降、新たに有限会社を設立するのは不可となっています。
「どちらを選べばよいか分からない」という方も多いのではないでしょうかえ?
そのような方のために、判断基準を下記に示します。
・銀行から大金を借りてビジネスする場合
⇒株式会社にする
・上記に当てはまらず、コストを抑えたい
⇒合同会社にする
合同会社は、他社からの信用が低くなってしまうことがデメリットですが、
株式会社と比較して、法人設立費用が約9万円安いです。
詳しく知りたいかたは、下記の記事をごらんください。
事業目的の決定
事業目的は、定款(会社の根本のルール)や登記簿謄本に記載されます
銀行の法人口座の開設審査の際、登記簿謄本に載った事業目的が影響します。
銀行側から「あやしいな」と思われてしまったら、開設できなかったり、審査が長引いてしまう可能性があります。
そのため、下記の4つのルールは守ってください。
2. 直近2年くらいでおこなう予定のない事業は記載しない
3. 営利性のある事業であること
4. あいまいな事業目的としない
1.「投資業」と記載しない
「投資業」と記載してしまうと、投資詐欺をするのではないかと、疑われてしまいます。
自分のお金だけで株式を運用するのであれば、
「有価証券の売買および保有」と記載しましょう。
※マイクロ法人の資産運用会社は、これにあたります。
なお、他人のお金を運用するには、財務局で投資運用業の登録が必要になります。
2.直近2年くらいでおこなう予定のない事業は記載しない
例えば、許可が必要な事業の場合、許可が取れているかの確認がされます。
そのとき、許可を取っていない場合、「実体がないのでは?」と銀行から疑われてしまい、法人口座の開設できなかったり、審査が長引いてしまう可能性があります。
3.営利性のある事業であること
株式会社・合同会社の設立目的は、営利性のある事業でなければなりません。
非営利団体(NPO)の設立は、別の手続きが必要になります。
4.あいまいな事業目的としない
銀行側がわかるような明確な事業目的としましょう。
例えば、「各種小売業」とだけ書いても、銀行側は「主に何を売っているのだろう」、「どのような形態で売っているのだろう」というような疑問が出てきてしまいます。
例えば、「インターネットを利用した衣類通信販売業務」のように書くと明確ですね。
各業界の参考例を知りたいかたは、下記をごらんください。
外部リンク(会社設立freee)
資本金の設定
資本金とは、事業を行うための元手のことです。
※大きな企業の場合を除く
100万円以上にする理由は、あまりにも低い金額だと、法人の銀行口座開設のときに、「架空会社をつくって法律に反することをするのでは?」と疑われてしまい、口座開設できない可能性があるからです。
1000万未満にする理由は、「1.消費税」と「2.法人住民税(均等割)」を最小限で抑えられるからです。
詳細を説明していきます。
1.消費税の節税
法人を設立して、事業年度1、2期目は、売上に対して消費税がかかりません。(原則)
ただし、例外として下記の3つのケースでは、消費税がかかってしまいます。
<消費税がかかる例外ケース>
i.資本金が1000万以上の場合
ii.1期目の事業年度開始日から6か月間で、課税売上高・給与がともに1000万円以上の場合(2期目に限る)
iii.資本金5億円以上の親会社の子会社となっている場合
つまり、事業年度1、2期目で消費税をかからないようにするには、資本金を1000万円以下にする必要があるということです。
マイクロ法人を設立する人は、iiとiiiに当てはまらないかたが、ほとんどかと思います。
2.法人住民税(均等割)の節税
法人住民税の均等割の年間金額は、下記のとおりです。
※従業員数50人以下の場合
均等割は、赤字でも毎年一定金額がかかります。
資本金額 | 道府県民税 | 市町村民税 | 合計金額 | |
1000万以下 | 2万円 | 5万円 | 7万円 | |
1000万超え 1億円以下 |
5万円 | 13万円 | 18万 | |
1億円超え 10億円以下 |
13万円 | 16万円 | 29万 | |
10億円超え 50億円以下 |
54万円 | 41万円 | 95万 | |
50億円超え |
80万円 | 41万円 | 121万 |
法人住民税の均等割の金額は、
資本金1000万以下の場合、毎年7万円ですが、
資本金1000万を超える場合、毎年18万円となってしまいます。
つまり、法人住民税の均等割を安く抑えたい場合は、資本金を1000万以下にする必要があるということです。
資本金1000万円以上とした方がよい場合
「それでは、全ての企業が資本金1000万円未満とすればよいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
資本金は、会社規模を表す面もあるので、
大きな企業や周りからの信用が重要な企業は、資本金1000万以上とするのが一般的です。
例えば、トヨタ自動車でも資本金1円だったら、なぜか信用できないですよね。
信用が必要なビジネスをする場合は、
1、2期目は資本金を999万とし、3期目に増資して資本金額を増やすことをオススメします。
会社設立日の設定
会社設立日は、法務局に設立の登記申請をした日です。
そんなことはありませんよ。
下記が、オススメの会社設立日です。
・縁起のよい日(大安、一粒万倍日など)
・2日以降の早い日
2日以降とする理由は、法人住民税の均等割を節約できるからです。
法人住民税の均等割は、赤字でも一定金額かかるものです。
例えば、資本金1000万円以下、従業員数50人以下で、決算日5/31の会社の場合、下記のようになります。
1.会社設立日:6/1であれば、70,000円
2.会社設立日:6/2であれば、7万円×11か月÷12か月=64,100円
つまり、2日以降にすると、5900円の節税になります。
ただし、初事業年度の1回だけの節税策になります。
決算日の設定
決算日とは、会計帳簿の締め日のことです。
個人事業主は、12月末で固定ですが、
法人は、いつでも可能です。
2. 初事業年度が長くなるようにする
3. 売上が高い時期が期首になるようにする
4. 末日
上記4つを解説していきます。
1. 3月、12月以外の月
自らで決算書(貸借対照表、損益計算書)の作成を行うかたは関係ありませんが、税理士に依頼する場合は、個人事業主や他の法人と重ならない月を、オススメします。
法人の多くは3月末決算、個人事業主の方は12月末締めとなっており、
税理士事務所は、超繁忙期です。
そのため、12月決算や3月決算では、税理士事務所に、
「依頼を断られるケース」や「テキトウな仕事をされる」可能性があるのです。
「なぜ、他の法人は決算日を3月末にしているの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
多くの法人が3月末決算になっている理由は、「総会屋対策」の名残りです。
総会屋とは、「少数の株式を所有したうえで、株主として株主総会に出て、わざと進行の邪魔をする組織」です。
そこで、邪魔しない代わりに、金銭を要求するというわけです。
その対策として、どの会社も決算日を3月末に合わせることで、他の会社と株主総会が同じ日になり、総会屋が参加しにくくしたのです。
現在は法整備がされているため、総会屋がほとんどいないですし、
上場企業にでもならない限り、総会屋に出資してもらうこともないでしょう。
そのため、3月末にする必要はありませんので、3月、12月は外した月にしましょう。
2. 初事業年度が長くなるようにする
例えば、会社設立日が6/2であれば、決算日は5/31としましょう。
理由は、消費税の免税期間をフルに利用するためです。
前述の通り、法人を設立して、1、2期目は、原則消費税がかかりません。
初事業年度(1期目)を短くしてしまうと、その分免税期間が短くなってしまいます。
・消費税の免税期間が短くなってしまう場合
(例えば、会社設立日が6/2で、決算日は6/30)
・消費税の免税期間がをフルに利用できている場合
(例えば、会社設立日が6/2で、決算日は5/31)
3. 売上が高い月が期首(事業年度の始まり)になるようにする
例えば、6月に売上が高くなることが推測される場合、5月決算とするということです。
売上が高い月が期末(事業年度の終わり)の場合、得られた利益の一部をすぐに税金として納める必要があり、資金繰りが悪化するためです。
時期によって、売上高の変動が大きくなければ、気にする必要はありません。
4. 末日
決算日は、月の途中の日付にすることも可能です。
昔ながら企業では、20日締めのところもあります。
しかし、末日のほうが経費処理が簡単ですので、末日にしましょう。
ちなみに、決算日は途中で変更可能です。
登記する必要はなく、「株主総会決議」と「事務異動届」を所轄の税務署などに提出するだけです。
② 印鑑の作成
法人として必要な印鑑は、下記の3点です。
※もちろん、シャチハタはNGです。
項目 | 記載する文字 |
実印 | 社名 + 株式会社:代表取締役印 合同会社:代表社員之印 個人事業主:代表者印 |
銀行印 | 社名 + 銀行之印 |
角印 (請求書などで使用) |
社名 |
材質や書体に制限はなく、自由に選んでいただいて構いませんが、最もポピュラーなものは下記の通りです。
・材質:黒水牛(高級感がある素材)
・書体:篆書体(てんしょたい)
参考レベルですが、下記がオススメの印鑑3点セットになります。
価格:6,880円 |
③定款作成
定款(ていかん)とは、発起人全員の合意のもとで定める「会社の根本の規則」です。
※発起人とは、設立を企画・準備して、定款に署名または記名捺印した者
定款作成には、「紙定款」と「電子定款」の2つの選択肢があります。
紙の定款は、印紙代として4万円かかりますが、電子定款であれば無料です。
何のサービスも使わず、自分で電子定款の作成をすることは困難です。
一方、「マネーフォワード会社設立」などの会社設立サービスを使えば、簡単に電子定款を作成することができます。
行政書士への作成手数料5000円だけで、簡単に電子定款を作成できるので、とってもお得なサービスです。
会社設立サービスの詳細は、後述します。
④定款認証
定款認証(ていかんにんしょう)とは、定款(会社の根本の規則)の正当性を「公証人」に証明してもらうことです。
ここでいう公証人とは、
「会社住所と同一の都道府県にある法務局の公証人」のことです。
合同会社でも、定款の“作成”の必要はありますが、“認証”は不要です。
そのため、株式会社では公証人手数料5万円がかかりますが、合同会社ではかかりません。
定款 | 株式会社 | 合同会社 |
作成 | 紙の定款(印紙代):約4万円 or 電子定款(印紙代):無料 ※行政書士への作成手数料:0.5万円 |
|
認証 | 公証人手数料 5万円 |
定款認証 不要 |
⑤資本金の払込み
資本金の払込みとは、「資本金を発起人個人名義の銀行口座に振り込むこと」です。
※発起人とは、設立を企画・準備して、定款に署名または記名捺印した者
※発起人が1人の場合は、振り込みではなく、預け入れだけでOKです。
まず、資本金の”払込み”をしなければいけない理由は、「法務局に、資本金があるかを証明するため」です。
さらに、法人口座ではなく、”個人名義の口座”に払込みをしないといけない理由は、「登記簿謄本と印鑑証明受け取りが終わった後でなければ、法人口座は開設できないため」です。
資本金の払込みの手順は、下記のとおりです。
手順 | 項目 | |
1 | 発起人個人名義の銀行口座を用意 | |
2 | 資本金を口座へ振り込む |
|
3 | 発起人の通帳をコピーする | |
4 | 払込証明書を作成 | |
5 | 通帳のコピーと払込証明書を1冊にまとめる |
詳細を、下記で説明していきます。
⑤-1. 発起人個人名義の銀行口座を用意
発起人(ほっきにん)個人名義の銀行口座を用意するにあたっての注意点は、下記の2点のみです。
・普通口座
・通帳がある口座(通帳のコピーをとるため)
上記を満たすものがあれば、何でも構いません。
新たに口座を作る必要はなく、既存の口座でOKです。
厳密に言えば通帳のない口座でも可能ですが、下記情報が記載されている必要があります。
・銀行名/支店名/口座番号
・通帳の名義人
・資本金が入金された日付/振込人/金額が分かるページ
以降は、通帳がある前提で説明していきます。
⑤-2. 資本金を口座へ振り込む
ここでの重要ポイントは、下記3点です。
Ⅰ.振り込みのタイミング
Ⅱ.預入・振込方法
Ⅲ.振込金額
Ⅰ.振り込みのタイミング
③定款作成~⑦登記申請までの期間(2週間以内)
Ⅱ.預入・振込方法
預入れ・振込みの方法は、発起人が「複数」か「1人」かで対応が異なります
■発起人が複数の場合
発起人個人名義の銀行口座に、振り込みをします。
発起人の代表者が各発起人から資本金を預かり、まとめて代表者口座へ払い込んでもOKです。
※預け入れでは、誰がどれだけ支払ったのか証明できないため不可。
■発起人が1人の場合
発起人個人名義の銀行口座に、預け入れをします。
※振り込みである必要はありません。
マイクロ法人の場合は、こちらのケースになります。
Ⅲ.振り込み金額
定款の設立事項に定めた資本金と同額、もしくはそれ以上とする必要があります。
⑤-3. 発起人の通帳をコピーする
下記3項目をコピーしてください。
・表紙
・氏名、支店、口座番号が表示されているページ
・入金額と振込人が表示されているページ
⑤-4. 払込証明書の作成
払込証明書に必要な項目は、下記の7項目です。
・払込があった金額の総額(定款に記載した数字)
・払込があった株数(定款に記載した数字)
・1株の払込金額
(払込があった金額の総額÷株数で算出)
・日付(資本金が振り込まれた最も遅い日以降の日付)
・本店所在地
・会社名
・代表取締役氏名
払込証明書に上記必要事項を記入しましたら、
証明書の「左上」と「代表氏名の右側」の2か所に、会社実印を押印してください。
長々と、払込証明書の書き方を説明しましたが、
「マネーフォワード会社設立」などの会社設立サービスを利用すれば、自動作成できます。
⑤-5. 通帳のコピーと払込証明書を1冊にまとめる
⑤-4 払込証明書が一番上、
⑤-3 発起人の通帳コピー3枚が下になるようにホッチキスで綴じます。
次に各ページの境目に会社実印(代表者印)を押印してください。
1ページ目のウラ面と2ページ目のオモテ面、
2ページ目のウラ面と3ページ目のオモテ面、
3ページ目のウラ面と4ページ目のオモテ面の3カ所です。
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⑥登記書類の作成
登記申請には、下記9個の書類が必要になります。
1.登記申請書
2.登録免許税納付用台紙
3.定款
4.発起人の決定書
5.就任承諾書
6.取締役の印鑑証明書
7.資本金の払込を証明する書類
8.印鑑届出書
9.登記すべきことを保存したCD-R
「マネーフォワード会社設立」などの会社設立サービスを利用すれば、
1~5、7、8の書類を自動作成できます。
⑥-1 登記申請書
登記申請書には、会社名(商号)、本店所在地、登録免許税などの一覧を記載する書類です。
※登記申請書は、「マネーフォワード会社設立」などの会社設立サービスを利用すれば、自動作成できます。
⑥-2 登録免許税納付用台紙
登記(会社を設立)するには、登録免許税というものがかかります。
登録免許税の金額は、資本金の7/1000になりますが、最低金額は下記表のとおりになります。
ここで注意すべきことは、消印は登記機関(法務局)で行うものであり、提出前におこなってはいけません。
※消印とは、収入印紙と文書の両方に印影がかかるように押印することです。
株式会社 | 合同会社 | ||
登録免許税 資本金の7/1000 |
15万円~ | 6万円~ |
※登録免許税納付用台紙は、「マネーフォワード会社設立」などの会社設立サービスを利用すれば、フォーマットを印刷できます。
⑥-3 定款
前述の「③定款作成」したものを準備しましょう。
⑥-4 発起人の決定書
発起人の決定書とは、発起人全員の合意のもとに、本店所在地が決定されたことを証明するための書類です。
※発起人とは、会社設立の際、資本金の出資、定款の作成など会社設立の手続きを行う人のことを言います。
定款に、本店所在地の詳細(番地や建物名称/部屋番号など)を記載した場合は、発起人の決定書は不要です。
※発起人の決定書も、「マネーフォワード会社設立」などの会社設立サービスを利用すれば、自動作成できます。
⑥-5 就任承諾書
就任承諾書とは、役員に選任された人が、就任を承諾したことを証明する文書です。
※就任承諾書も、「マネーフォワード会社設立」などの会社設立サービスを利用すれば、自動作成できます。
株式会社と合同会社で必要となる書類は、下記のとおりです。
就任承諾書 種類 |
株式会社 | 合同会社 | |
取締役の 就任承諾書 |
必要 (全員分の個人実印) |
不要 | |
代表取締役の 就任承諾書 |
条件による (個人実印) |
不要 | |
監査役の 就任承諾書 |
条件による (個人認印) |
不要 | |
代表社員の 就任承諾書 |
不要 | 原則必要 (個人実印) |
株式会社の場合
“取締役”の就任承諾書は必須です。
一方、”代表取締役”と”監査役”は、条件により異なります。
代表取締役の就任承諾書は、
取締役が複数の場合:必要
取締役が1人の場合:不要
監査役の就任承諾書は、
取締役会の設置があり会計参与※を置いていない場合:必須
それ以外:不要
※会計参与とは、株式会社に設置できる機関の1つであり、取締役等と共同して計算書類等を作成する役目をに担うところです。
株式会社のマイクロ法人の場合は、取締役が1人で、取締役会の設置がないため、
“取締役”の就任承諾書のみが必要で、代表取締役と監査役の就任承諾書は不要となります。
合同会社の場合
“代表社員”の就任承諾書が必要かどうかは、
前提条件により、法務局登記官の見解が分かれるようです。
必要な前提で、用意しておくのがベターかと思います。
⑥-6 取締役の印鑑証明
印鑑証明とは、第3者が同じ苗字のハンコを買ってきて、勝手に重要な契約を結ばれないように、印鑑を公的に裏付けることです。
届け先は、
個人実印(印鑑証明)であれば、市町村役場
会社実印(印鑑証明)であれば、法務局です。
会社実印の印鑑届出は、⑥-8印鑑届出書でご説明します。
ここでは、印鑑証明された個人実印が必要になります。
取締役会を置くか置かないかで、誰の印鑑証明が必要になるかが変わります。
(下記のとおり)
株式会社 | 合同会社 | ||
取締役会を 置く場合 |
代表取締役のみの 印鑑証明 |
ー | |
取締役会を 置かない場合 |
取締役全員の 印鑑証明 |
代表社員の 印鑑証明 |
マイクロ法人であれば、株式会社だけでも合同会社だけでも
自分の個人実印だけでOKということです。
⑥-7 資本金の払込を証明する書類
前述の「⑤資本金払込」で説明した書類を、準備しましょう。
⑥-8 印鑑届出書
印鑑届出書とは、法務局に会社の実印を登録することです。
前述のとおり、印鑑届出書を提出する目的は、
第3者が同じ会社名のハンコを買ってきて、勝手に重要な契約を結ばれないように、印鑑を公的に裏付けることです。
※印鑑届出書も、「マネーフォワード会社設立」などの会社設立サービスを利用すれば、自動作成できます。
⑥-9 登記内容を保存したCD-R
「登記内容とは何だろう」と思われた方も、いらっしゃるかもしれませんね。
下記の2つが必要になります。
Ⅰ.登記すべきことを記載したファイル
Ⅱ.電子定款(紙定款の場合は不要)
記録媒体は、CD-RもしくはDVD-Rです。
※CD-ROM、DVD-ROMは、書き換えができてしまうのでNGです。
Ⅰ.登記すべきことを記載したファイル
下記の法務局フォーマットに、登記すべきことが記載してあります。
※登記とは、広く公に示すために、公開された帳簿に記載すること。
フォーマットに穴埋めする形で記入し、そのままtxt形式で保存してください。
<フォーマット>
株式会社_登記事項フォーマット
合同会社_登記事項フォーマット
細かい注意事項は、下記法務局ページをごらんください。
外部リンク(法務局ページ)
Ⅱ.電子定款
電子定款の場合、電子定款も記録媒体に保存する必要があります。
(紙定款の場合は、不要です)
保存する形式は、PDFです。
印鑑の種類
下記表に、各書類の署名・捺印する人をまとめました。
書類 | 署名・捺印 する人 |
印鑑種類 |
1.登記申請書 | 代表取締役 (代表社員) |
会社の実印 |
2.登録免許税 納付用台紙 |
署名捺印不要 | |
3.定款 | 発起人 | 個人の実印 |
4.発起人の決定書 | 発起人 | 個人の実印 |
5-1.取締役の 就任承諾書 |
取締役 | 個人の実印 |
5-2.代表取締役の 就任承諾書 |
代表取締役 | 個人の実印 |
5-3.監査役の 就任承諾書 |
監査役 | 個人の認印 |
5-4.代表社員の 就任承諾書 |
代表社員 | 個人の実印 |
6.印鑑証明 | 署名捺印不要 | |
7.払込証明書 | 代表取締役 | 個人の実印 |
8.印鑑届出書 | 代表取締役 | 会社の実印 |
9.CD-R | 署名捺印不要 |
登記書類のとじ方
登記書類のとじ方は、マネーフォワード会社設立の下記ガイドをみていただければと思います。
外部リンク(マネーフォワード会社設立 登記書類のとじ方ガイド)
⑦登記申請
法人登記の申請方法は、下記の3種類があります。
2.法務局に郵送する
3.オンライン申請する
また、添付書類によってはオンラインに対応しておらず、別途郵送する必要があります。
1.法務局窓口に行く方法
早く設立したくて、書類の間違いがあってもすぐに直したいという方向けです。
下記の持ち物をもって、管轄の法務局窓口にいきましょう。
・「⑥登記書類の作成」で揃えた書類
・会社の実印(押印忘れのときのために)
・個人の実印(押印忘れのときのために)
2.郵送する方法
郵送する方法は、わざわざ法務局に出向く時間がないという方です。
「⑥登記書類の作成」で揃えた書類を、管轄の法務局に送りましょう。
管轄の法務局を調べるには、下記リンクをごらんください。
外部リンク(法務局のページ)
⑧登記簿謄本と印鑑証明の受け取り
⑦法務局への登記申請から1週間くらい経過すると、「登記簿謄本」と「印鑑証明」を受け取ることができます。
登記簿謄本は、銀行に法人口座を開設するときや、税務署へ各種届け出をするとき、社会保険事務所への届け出など、様々な場面で必要になります。
印鑑証明は、担保の設定や諸契約を行う際に必要になります。
「先ほども印鑑証明を取得しなかったっけ?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
「⑥-6 取締役の印鑑証明」は個人の実印の話でしたが、今回は会社の実印です。
登記簿謄本と印鑑証明の受取のための申請方法
登記簿謄本
登記事項証明書を申請する方法は、下記3つです。
・法務局に出向く
・郵送
・オンライン
オンラインの場合、
法務局の「登記・供託オンライン申請システム」内の「かんたん証明書請求」から交付の請求ができます。受け取りは法務局の窓口か郵送となります。
印鑑証明
印鑑証明を申請する方法は、下記3つです。
・法務局に出向く
・郵送
・オンライン
詳しく知りたいかたは、下記リンクをごらんください。
外部リンク(GMOサイン)
⑨税務上の届出提出
下記4か所への届け出が必要になります。
期限は、会社設立日(設立登記の日)から2か月以内です。
※従業員を雇用していない場合は、労働基準監督署・ハローワークに届出する必要はありません。
届出方法の詳細は、下記のリンクをご覧ください。
外部リンク(マネーフォワード会社設立)
引用:マネーフォワード会社設立
会社設立サービス
司法書士や税理士に頼らず、自力で会社設立するかたにとって、
会社設立サービスは必須といっても過言ではありません。
有名な会社設立サービスは、下記3つです。
・マネーフォワード会社設立
・会社設立freee
・弥生の会社設立
価格は3社ともに、行政書士への作成手数料として5000円だけです。
なお、登録段階では無料です。
どのサービスが最も使いやすいかを確認するために、定款作成までの作業を3社ともにやってみました。
その結果は、下記のとおりです。
1位マネーフォワード(7分)
2位freee(12分)
3位弥生(25分)
( )は、定款作成に要した時間
ちなみに、トライした順番はマネーフォワード、freee、弥生の順番ですので、要領が分かっていないマネーフォワードは一番不利なはずですが、一番早く定款を作成できました。
マネーフォワードはつまずく箇所が全くなかったのに対して、freeeは分からなくてつまずいた箇所が1か所、弥生に至っては登記事項の入力画面まで思うようにたどり着けない上に、初心者がつまずきやすいポイントに対して説明も足らず論外でした。
マネーフォワードは、初心者がつまずきやすいポイントに対しても説明がしっかりされていて、使いやすい仕様となっていました。
ということで、私はマネーフォワード会社設立をオススメします。
参考で、下記に料金体系をのせておきます。(2022/10/8時点)
■合同会社の場合
■株式会社の場合
引用:マネーフォワード会社設立
最後に
いかがでしょうか。
マイクロ法人の作り方(設立方法)について、理解いただけましたでしょうか?
手順は多いですが、1つ1つの作業自体は難しくありませんので、1つずつ取り組んでいきましょう。
ツイッターもやっておりますので、フォローいただけるとうれしいです!
また、合わせて下記の記事も、ごらんいただければと思います。
また、「個人事業主のみ」→「マイクロ法人と個人事業主の二刀流」になることで、手取り額がいくら変わるかを、シミュレーションできるサイトを用意しました!
下記のサイトで、自分の条件を入れるだけで、 自分の手取り額が分かります!