そのような疑問をお持ちの方へ、丁寧に解説する記事となります。
私自身、自分が持っている「資産の月別リターン(騰落率)」を知りたいと思ったものの
ネットでは、一部の資産のデータしか見つけられなかったため、月別リターンを自ら算出しました。
この記事を読んでいただければ、
資産価格が安くなりやすい月の前に、”売却”を検討したり
資産価格が高くなりやすい月の前に、”購入”を検討したり
することができるようになります。
本記事で解説する資産は、下記になります。
②米国株式S&P500
③米国中小型株 VXF
④ナスダック QQQ
⑤新興国株式 VWO
⑥中国株式 CXSE
⑦日本株式 TOPIX
⑧長期米国債券 TLT
⑨金 GLD
⑩暗号通貨 BTC
それでは、各資産の月別リターン(騰落率)を、順番に解説していきます。
①全世界株式の月別リターン(騰落率)
下記グラフは、世界株式の月別リターンを示しております。
【前提条件】
・調査したETF:VT
・サンプリング期間:2008/7~2021/5
・当月始値~翌月始値でリターンを算出
リターンが低い月:8月
8月は、機関投資家が長期休暇に入るため、
一旦株を売却することで、株価が下がりやすいと言われています。エラーバー(縦の黒線)は、68%で起こりうる範囲(1標準偏差)を示しています。例えば、1月であれば、68%の確率で-6~+6%のリターンとなります。標準偏差について知る
②米国大型株式の月別リターン(騰落率)
下記グラフは、米国大型株式 S&P500(SPY)の月別リターンを示しております。
【前提条件】
・調査したETF:SPY
・サンプリング期間:1995/4~2021/5
・当月始値~翌月始値でリターンを算出
リターンが低い月:8月
エラーバー(縦の黒線)は、68%で起こりうる範囲(1標準偏差)を示しています。
例えば、1月であれば、68%の確率で-4~+5%のリターンとなります。
③米国中小型株VXFの月別リターン(騰落率)
下記グラフは、米国中小型株(VXF)の月別リターンを示しております。
VXFを知らないかたは、下記リンクから学んでいただくことをオススメします。
VXFに投資することで、「規模の分散」と「リターン押し上げ」が期待できます。
【前提条件】
・調査したETF:VXF
・サンプリング期間:2009/10~2021/5
・当月始値~翌月始値でリターンを算出
リターンが低い月:8月
S&P500と比較して、11月のリターンがさらに高いことが分かります。
エラーバー(縦の黒線)は、68%で起こりうる範囲(1標準偏差)を示しています。
例えば、1月であれば、68%の確率で-4~+7%のリターンとなります。
④ナスダックQQQの月別リターン(騰落率)
下記グラフは、ナスダックの月別リターンを示しております。
【前提条件】
・調査したETF:QQQ
・サンプリング期間:1999/4~2021/5
・当月始値~翌月始値でリターンを算出
リターンが低い月:9月
S&P500は、11月のリターンが高く、8月のリターンが低いのに対して、
ナスダックは、10月のリターンが高く、9月のリターンが低いことです。
エラーバー(縦の黒線)は、68%で起こりうる範囲(1標準偏差)を示しています。
例えば、1月であれば、68%の確率で-6~+6%のリターンとなります。
⑤新興国株式の月別リターン(騰落率)
下記グラフは、新興国株式の月別リターンを示しております。
【前提条件】
・調査したETF:VWO
・サンプリング期間:2005/4~2021/5
・当月始値~翌月始値でリターンを算出
リターンが低い月:8月
エラーバー(縦の黒線)は、68%で起こりうる範囲(1標準偏差)を示しています。
例えば、1月であれば、68%の確率で-8~+7%のリターンとなります。
⑥中国株式の月別リターン(騰落率)
下記グラフは、中国株式の月別リターンを示しております。
【前提条件】
・調査したETF:CXSE
・サンプリング期間:2012/5~2021/12
・当月始値~翌月始値でリターンを算出
リターンが低い月:9月
エラーバー(縦の黒線)は、68%で起こりうる範囲(1標準偏差)を示しています。
例えば、1月であれば、68%の確率で-6~+10%のリターンとなります。
⑦日本株式TOPIXの月別リターン(騰落率)
下記グラフは、日本株式TOPIXの月別リターンを示しております。
【前提条件】
・調査した指数:TOPIX
・サンプリング期間:2003/9~2021/5
・当月始値~翌月始値でリターンを算出
リターンが低い月:8月
海外株式との違いは、12月のリターンが良いことです。
エラーバー(縦の黒線)は、68%で起こりうる範囲(1標準偏差)を示しています。
例えば、1月であれば、68%の確率で-5~+4%のリターンとなります。
⑧長期米国債券TLTの月別リターン(騰落率)
下記グラフは、長期米国債券TLTの月別リターンを示しております。
長期米国債券TLTを知らないというかたは、下記リンクより学んでいただくことをオススメします。
ポートフォリオの一部にTLTを組み込むことで、リターンを維持したまま、リスクを下げることが期待できます。
【前提条件】
・調査したETF:TLT
・サンプリング期間:2005/6~2021/5
・当月始値~翌月始値でリターンを算出
リターンが低い月:10月
株式は、8月のリターンが低いのに対して、
前述のとおり、
そのとき、株式を完全に現金とするのではなく、一部を債券に回すことで、債券価格が上昇していると考えられます。
エラーバー(縦の黒線)は、68%で起こりうる範囲(1標準偏差)を示しています。
例えば、1月であれば、68%の確率で-5~+5%のリターンとなります。
⑨金GLDの月別リターン(騰落率)
下記グラフは、金価格の月別リターンを示しております。
【前提条件】
・調査したETF:GLD
・サンプリング期間:2004/12~2021/5
・当月始値~翌月始値でリターンを算出
リターンが低い月:3月
そのとき、株式を完全に現金とするのではなく、一部を金に回すことで、金価格が上昇すると考えられます。
エラーバー(縦の黒線)は、68%で起こりうる範囲(1標準偏差)を示しています。
例えば、1月であれば、68%の確率で-2~+8%のリターンとなります。
⑩暗号通貨BTCの月別リターン(騰落率)
下記グラフは、暗号通貨(BTC)の月別リターンを示しております。
【前提条件】
・暗号資産の種類:ビットコイン
・サンプリング期間:2012/1~2021/5
・当月始値~翌月始値でリターンを算出
※ビットコインは、年数が経っていない資産で、
データ数も少ないので、参考程度としてみてください。
リターンが低い月:9月
エラーバー(縦の黒線)は、68%で起こりうる範囲(1標準偏差)を示しています。
例えば、1月であれば、68%の確率で-20~+30%のリターンとなります。
各資産の月別リターン比較
下記表は、各資産の月別リターンの比較表になります。
リターン順位ごとに、記号を分けております。
リターン1位:◎
リターン2位:○
リターン3位:□
リターン12位:×(ワースト)
※過去データの統計結果であり、今後のリターンを保障するものではありませんので、あくまで参考程度にご覧ください。
資産 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
全世界株 | ◎ | ○ | × | □ | ||||||||
米国大型株 | ◎ | × | □ | ○ | ||||||||
米国中小型株 | ○ | □ | × | ◎ | ||||||||
ナスダック | □ | × | ◎ | ○ | ||||||||
新興国株式 | □ | ○ | ◎ | × | ||||||||
中国株式 | □ | ○ | × | ◎ | ||||||||
日本株式 | □ | × | ○ | ◎ | ||||||||
長期米国債券 |
◎ | □ | × | ○ | ||||||||
金 |
◎ | × | □ | ○ | ||||||||
暗号通貨 | □ | ○ | × | ◎ |
月ごとの売買戦略
各資産の月別リターンの比較から、月ごとの売買戦略を下記表に示します。
※今後のリターンを保障するものではありません。
3月末、10月末は、自らのリスク許容度に対して、リスクが小さいポートフォリオになっていれば、追加で株式を購入することをオススメします。
7月末は、自らのリスク許容度に対して、リスクが大きいポートフォリオになっていれば、株式の一部を売却し、長期米国債券TLTを購入することをオススメします。
長期米国債券TLTを知らないというかたは、下記リンクより学んでいただくことをオススメします。
ポートフォリオの一部にTLTを組み込むことで、リターンを維持したまま、リスクを押し下げることが期待できます。
※なお、暗号通貨(BTC)は、データ収集期間が短く信頼度が低いため、下記表には入れておりません。
資産 | 買いを 検討する資産 |
売りを 検討する資産 |
1月末 | なし | なし |
2月末 | 新興国株 | 金 |
3月末 | 株式全種類 | なし |
4月末 | なし | なし |
5月末 | 米国中小型株 | なし |
6月末 | 全世界株式 新興国株 |
なし |
7月末 | 長期米国債券 | 株式全種類 |
8月末 | なし | ナスダック |
9月末 | ナスダック 米国中小型株 |
長期米国債券 |
10月末 | 株式全種類 (マザーズ以外) |
なし |
11月末 | 日本株式 | なし |
12月末 | 金 | なし |
まとめ
いかがでしょうか?
各資産の月別リターン(騰落率)について、知識が深まりましたでしょうか。
リターンが高い月、低い月を、ざっくりまとめると、下記のようになります。
●株式
・リターンが高い月:4月、11月
・リターンが低い月:8月
●米国債券
リターンが高い月:8月
リターンが低い月:10月
●金
・リターンが高い月:1月、8月
・リターンが低い月:3月
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